富野由悠季の世界

富野由悠季の世界

EXHIBITION

旅立ちと帰還、対立と和解、生と死、破滅と再生

それでも人は、生きていかねばならない ― バラエティに富む富野由悠季のアニメ作品群、
初監督を務めた《海のトリトン》(1972年)から最新作《ガンダムGのレコンギスタ》までを
通覧したとき見えてくるもの、それは、「それでも人は、生きていかねばならない」という
富野の祈りにも似たメッセージである。彼の紡ぎ出すドラマの多くで、少年は旅立ち、
そして「帰るべき処」を探し求める。

彼は旅立ち、様々な人々と出会い、ときに和解の道筋を模索しながら、いろいろなことを学び、
そしていずこかに帰還する。ただし彼の旅は、常にゴールから逆算されたものではない。

その物語は、SFマインドにあふれたリアリティのある舞台設定、奥行きのある人物描写、
巧みなメカ演出によって構築されている。リズムとスピード感を重視した映像構成は、
見る者を飽きさせることがない。一見難解に見えるストーリーは、実は上記のようにシンプルなスキームで
創出されている。この点を理解しておけば、たとえ登場人物が多くとも、
設定が複雑であろうとも、私たちは富野由悠季の作品世界を楽しむことができるのだ。