富野由悠季の世界

富野由悠季の世界

週刊トミノ展

WWT003

展示難易度、高し

週刊トミノ展の初回では、立ち上がり館の準備の様子をご紹介しました。それに比べればその後の会場の準備はずい分と楽になるはずですが、「富野由悠季の世界」ではそうはいきませんでした。何をおいても課題となるのは展示物の物量で、そのうえ注意を要する紙資料から立体物、額装された油彩画に加えて音声をともなう映像までと、美術館が扱うすべてのタイプの資料を同時に扱わなければならない。はっきり言えば、相当に難易度の高い展覧会なのです。
 例えば、子供の頃にためらいもなく遊び倒していた玩具も、ご所蔵家からお借りして展示するとなると細心の注意をもって扱わなければなりません。万が一のことがあっては大変ですので、その展示指導のためにご所蔵家に遠路お越しいただくこともお願いしました(ご紹介する映像は、その際に実演していただいたイデオン奇跡合体の一発変形の様子)。また、展示全体の演出効果を狙って、兵庫会場では高い天井を生かして大画面の映像コーナーを複数設けることにしました。その最たる例が大階段と呼んでいる空間での八嶋有司さんの映像インスタレーション、会場に向かう皆さんの気分を大いに盛り上げることができました。ただ、その実現にあたっては天井部分の遮光を行ったり、安全確保のための足元の灯りを用意したりと相当の準備が必要でした。その他の映像コーナーでも機材トラブルはいかんとも避けがたく、結局、当初の甘い予想は見事に砕け散り、展示期間中はあちこち駆けずり回ることになりました。応援に来てくれた巡回各館のみなさんに助けていただいて何とか開幕に間に合ったというのが実情です。
 兵庫会場では追加出品をした資料も多くありました。初めから予定していた未公開作品「卑弥呼大和」のイメージボードだけでなく、開幕直前に監督が送って下さった新出の『鉄腕アトム』のセル画や『ブレンパワード』エンディングに使用された荒木経惟氏の植物写真など、重要な資料を展示に加えることができたのは大きな喜びです。
 そうした追加資料のうち、思い出深いのは『∀ガンダム』メインビジュアルのポスターです。調査段階で発見できずに出品をあきらめていたものですが、福岡会場の視察の際に富野監督が「あれはないの?展示して欲しいな~。」とおっしゃったのに一念発起、必死にネットで捜索した末、某オークションサイトで入手することができたものです。兵庫でお披露目をした際には思わず監督にサインをお願いしてしまいました。今も残るこのサイン、ぜひ会場でチェックしてみてください。
(兵庫県立美術館 小林公)