文化的なキャラグッズ?
皆様、はじめまして。「富野由悠季の世界」オリジナル商品の企画制作を承っております、株式会社ムービックの萩原と申します。今回は「グッズ制作の裏話」というテーマでコラムを書かせていただきました。よろしくお願い致します。 私は御多分に漏れず小学時代にガンプラにはまり(初めて買えたのはビグロ…)、そこからボードシミュレーションゲームに傾倒し、さらにTRPGへ…と、書けばキリがないのですが、作品とその周辺に少なからぬ身銭を切りながら富野監督の世界に入り浸っていました。
弊社は主にアニメショップ「アニメイト」の商品制作を担っている会社で、私は入社2年目頃からサンライズ様にお世話になり始め、Gガンや08小隊、後にはガンダム20周年グッズなどを担当してきました。今回も有難く、サンライズ様からご推挙いただいたのですが、嬉しさもありつつ、どんな商品を作れば良いのかと悩みました。 「概念の展示」というコンセプトをお聞きしていたものの、ただ単にキャラやメカのイラストを嵌めただけの商品ではなく、美術館で販売するのに相応しい、いわば「文化的なキャラグッズ」にする為にはどうしたら良いか…。展示内容も明らかでない中、熟考した結果、名場面とセリフを絵はがきに、絵コンテをクリアファイル、番宣ポスターはマグネット、アイキャッチはバッジ…など、グッズのデザインに「縛り」を作りながら企画していくことにしました。
…ですが、実はこのお話をいただいたときに真っ先に閃いたのは、富野監督の「インスタ風アクリルスタンド」なのでした。 アクリルスタンドはキャラグッズとしては定番で、アニメイトでも人気のアイテムです。これを普通にシャアやハマーン様で作っても(これはこれで欲しいのですが)、すでに市場にある商品と似てしまうので、何か展覧会グッズとして差別化したい。まだ世に出ていないモチーフといえば…そう、監督ご自身の肖像!
鈴木 心さんの撮り下ろした写真に、かわいい笑顔の監督のお姿がありました!
さらにインスタ風なフレームのデザインにすれば、いつでもどこでもスマイリーな監督といっしょに写真を撮れる!という、イノセントもびっくりの「文化的なキャラグッズ」になるのでは…!!「…でも、監督のお顔はちゃうんちゃいます…?」 と、巡回事務局の神戸新聞社様からは怪訝な顔をされながらも何とか発売にこぎつけ、おかげさまで図録、会場限定F91に次ぐヒット商品となりました。
結局、理屈をつけて悩んだ商品より、自分が直感で欲しいと思ったものがお客様に共感いただけるのだな、と痛感しました。
もちろん、買ってくれたお客様、そしてこのような突飛な商品を承認してくださった監督には、本当に頭が下がります。ありがとうございました。 展覧会はお休み中ですが、引き続き新商品は企画していきます。商品のご意見、ご希望がありましたら、Twitterハッシュタグ「#富野由悠季の世界グッズ」などでつぶやいてください。こっそり参考にさせていただきます。
このリアル黒歴史な今を乗り越えた暁には、あの素晴らしい「富野由悠季の世界」で皆様とまたお会いできることを楽しみにしております。
(株式会社ムービック 萩原大輔)