富野由悠季の世界

富野由悠季の世界

週刊トミノ展

WWT009

展覧会の「見映え」を決めたデザイナーと映像作家

「富野由悠季の世界」展は、開催6館の学芸員7人により企画されたことはすでにご承知の通りですが、そもそも展覧会というものは、企画者だけでできるというものではなく、外部の専門スタッフの協力が不可欠。本稿では、展覧会のメインビジュアルや図録のデザインを手がけたグラフィックデザイナー・植松久典さんと、会場の各コーナーで流れていた映像の編集を行った映像作家・泉山朗土さんを紹介します。

植松さんは福岡在住。すでに青森県立美術館、九州国立博物館、そして福岡市美術館などの企画展の広報物・図録デザインの経験があります。これだけなら(大変失礼な言い方ですが)普通のデザイナーですが、彼は『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のタイトルデザイン、そして同作品や『聖戦士ダンバイン』のブルーレイボックスのパッケージデザインなど、主にサンライズ作品でデザインの経験をお持ちでした。そしてもちろんトミノ通! メインビジュアルとなった、トミノキャラ・メカの集合は、彼の真骨頂。「このキャラをここに配置」などという企画側の指示は一切なし。見事です。414頁におよぶ図録のほうは、「富野由悠季全仕事」の編集者でもあった天本伸一郎さんの編集術と、植松さんのデザインの協同。企画した学芸員は、おのおの担当の作品の出品資料に合わせて頁割と配置を指示。それを実にそつなくまとめてくださいました。ほか、各会場のチケットやしおり、そしてもちろん印象的な「富野由悠季の世界」のロゴマークも植松さんのデザインです。

一方、実際の展覧会場で、数多くの映像が流れていたことは、ご覧になった方ならご存知のこと。各アニメ作品から場面を抽出し、15分程度のコンパクトな映像にまとめてくれたのが、泉山さん。彼は現在東京在住ですが、実は数年前まで福岡在住。自身も映像作品を制作する傍ら、福岡を拠点に映像関連の仕事を多数こなしていました。彼は(残念ながら)トミノ通ではありませんが、映像に関するあらゆる要望に応えてくれました。アニメ作品の映像、場面写真抽出の場所選定は学芸員がそれぞれ(実に細かく)行い、泉山さんに依頼しましたが、カットの端のところまでセリフやBGMが入っていたシーンで切れる場合でも、つなぎの処理が実に見事。テロップの入り方も自然で、紙資料が多数である展覧会を華やかなものにしていました。

植松さんも泉山さんも、この「週刊トミノ展」に絶賛協力いただいています。「週刊トミノ展」のロゴは植松さん制作です。そして先日アップしたF91のプラモ制作映像は、泉山さん編集。我々素人撮影の恥ずかしい映像をうまくまとめていただきました。
(福岡市美術館 山口洋三)