富野由悠季の世界

富野由悠季の世界

週刊トミノ展

WWT010

富野作品を支える「風土」

世界中がコロナウィルスの蔓延に見舞われ、各地の美術館や博物館でも展覧会やイベントの延期あるいは規模縮小を余儀なくされています。

コロナ禍はわれらが富野展にも及んでおり、感染症対策の観点から青森・富山の2会場では会期の順延が決定されています。これに伴い、静岡県立美術館が、福岡・兵庫・石見に続く第4会場となりました。会期は9月19日(土)~11月8日(日)です。

さて、この静岡という土地、トミノワールドにおいてしばしば重要な位置を占めてきました。

そう、まずは初期の重要作『無敵超人ザンボット3』。駿河湾が重要な舞台となっています。ラストシーン、海に浸かり涙を流しているかのようなザンボエース、そして香月に見守られミチの膝で目覚める勝平(「ああ、ここはやっぱりミチなんだ……」と筆者は妙に納得しました)。えも言われぬ時間が流れ、余韻としか言いようのない複雑な感情が去来します。

そして最新作『Gのレコンギスタ』。ベルリはラストで富士山を駆けます(これ、何気なく書いてますけど、第1話を観たあとで「ラストシーンは富士山になるに違いない」と予言できた人はいないですよね、実際。驚くべき奇想です)。爽快感と開放感、希望にあふれた幕切れです。

これら静岡ゆかりの作品の他にも、富野監督の作品では、作品世界のモデルとなった風土が通奏低音として実に効いています。『G-レコ』のイベリア半島、『OVERMAN キングゲイナー』のシベリア、『機動戦士Vガンダム』の東欧、『∀ガンダム』の新大陸……ぱっと思いついて名を挙げただけでも、視聴したときに画面から感じた風、土地土地の空気感が甦ってくるようです。

ということで。静岡会場では、一般公開初日に富野監督およびアニメ評論家の藤津亮太さん(静岡の御出身)をお迎えし、「富野由悠季×藤津亮太 静岡に語る」と題したトークショーを開催いたします。静岡を舞台にした作品の話から、広く作品世界における「風土」といったところにまで話題が広がっていけば良いと考えております。

展示は鋭意準備中、イベントはコロナウィルス感染症の動向を見極めつつどのようなかたちで開催されるべきか模索しているところではございますが、引き続き、静岡展に御注目ください。

待ち遠しくても、待て!
(静岡県立美術館 村上敬)