富野由悠季の世界

富野由悠季の世界

週刊トミノ展

WWT015

富野アニメを「体感」できる、八嶋有司の映像インスタレーション

福岡会場では第1章の手前に(写真1)、兵庫会場では展示室前の吹き抜けに(写真2)、そして島根会場では「ガンダム」と「イデオン」の間に配置されていた(写真3)映像インスタレーション《この世界を風景の―Dive》。その空間に入ると、富野アニメの名シーンをまさに全身に浴びることができる、という至福の空間。「劇場版 伝説巨神イデオン 発動篇」の主題歌として作られた「海に陽に」が映像に合わせて流れます(作詞はご存知、井荻麟!)。『∀ガンダム』第43話「衝撃の黒歴史」の1シーンを思い出す人も多かったのではないでしょうか?

このインスタレーションの制作者は、映像作家の八嶋有司さん(1981年生まれ @yushiyashima )です。映像作家と言ってもいわゆる「劇映画」の監督ではなく、映像を使った美術作品を制作し、気鋭の映像作家として数々の展覧会に出品を重ねています。映像の原理的な部分にまで降り立って、卓越した技術と映像センスで単に見るだけでなく体感できるような作品を毎回発表しています。インスタでは直リンクできないですが、彼のHPもご紹介します、ぜひご覧になってください。http://y840.net/

今回のインスタレーション制作にあたって、ベースとさせていただいたのが、彼が2015年に制作した《The Dive – Methods to trace a city》(写真4、撮影:表恒匡)。複数のプロジェクタで複数の映像を映し、撮影時の音響もあるこの作品のフォーマットに、富野アニメのエッセンスを入れ込んでもらえるようお願いしたところ、快諾。映像の選択、選曲は我々のほうで行いました。すでにご覧になった方、お気づきでしたか?5面出てくる映像シーンが、同一テーマになっていることを?①作品の「世界観」を現すシーン、②主人公がメカに搭乗するシーン、③ロボットの戦闘シーン、④爆発シーン、⑤登場人物の死のシーン、⑥仮面の人物、⑦キスシーン、⑧子供が活躍するシーン、⑨メカの変形・合体シーン、⑩帰還するシーン、の10のテーマ。いずれも富野作品に特徴的なシーンばかりを、各担当でマニアックに選択しました。結構細切れのシーン選択にもかかわらず、八嶋さんは持ち前の技術で見事に編集!各映像、音楽が見事にシンクロして、印象的な映像インスタレーションとなりました。

もともと、私たち企画チームの学芸員は、所属の美術館にて近現代美術を専門にしており、各々、現在活躍中の現代美術作家に関しても相応の知識と人脈を持っております。本展はアニメ資料が中心ではあるけれど、現代美術作家にも何らかの形で関わっていただき、富野作品の魅力をさらに引き出した展覧会としたい、という意図は企画当初から持っておりました。週刊トミノ展0012で工藤健志さんがご紹介した彫刻家の青秀祐さんの与圧服とならんで、八嶋さんにも本展で重要な役割を果たしていただきました。ぜひ、静岡、富山、青森でも「体感」してください!
(福岡市美術館 山口洋三)